お願い、名前を呼んで。
コーヒーショップに入ると緊張がほぐれて、皆んなそれぞれの話を始めた。

「そう言えば、今日、打上げやりますよね。もちろん、全員参加で。」

「絶対、するー。今日のお酒程美味しいのは、この先も一生無い気がする。」

「じゃあ、竹内さんと沢村さんも入れて10名で予約しておきますね。場所はいつものところで。」

「時間は5時からで!早く飲みたいから。」

すっかり、終わった後の打上げの話で盛り上がった。

私の携帯が鳴った。隼人からだった。

「はい、もしもし。東京駅に到着した?」

「うん、私達は今、劇場近くのカフェにいる。
竹内君達がここに着く頃には、劇場内にいると思うから、着いたら連絡下さい。」

私は、皆んなの前なのを意識して、隼人の会話が、ぎこちなくなる。
皆んなも、私達の会話に興味津々って感じだし。

「そう言えば、野崎さんと竹内さんって会社公認の割に、誰も二人でいるところを見たことがないんですよね。」

「確かにそうだ。」

「竹内さん、長期出張でこっちにいないもんね。」

「野崎さんは寂しくないんですか。」

「うん、お互い忙しいし。」

私が寂しくて、よく泣いているなんて言ったら、
皆んなドン引きしそう。

「私の話はもういいよ。そろそろ劇場に戻りましょうか。」
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