お願い、名前を呼んで。
藤田さんの乾杯の発声で、一気に盛り上がり、皆んながジョッキを一気に飲み干す。

「おめでとう。」
「お疲れ様ー。」
「うまいー。」

俺も何度も味わっているけど、この達成感の中で飲むビールは格別だ。

俺は皆んなが酔い始める前にと思い、沢村に合図をする。
沢村も待っていましたとばかりに、店員さんに駆け寄り、花束が運ばれて来た。

それに気付いた何人かが、声を上げる。

俺は一番大きな花束を抱えて、優香に歩み寄る。

「優香、お疲れ様。よく頑張ったね。」

サプライズに驚き、感激で目を真っ赤にしている。

「ありがとう、隼人。」

そう言うと、遂に涙が溢れ出した。

周りが囃し立てる。

「竹内さんが野崎さんを泣かしてる!」

「優香、隼人だって。素敵すぎる。」

「羨ましい。私もあんな風になりたい。」

さすがにこれには、俺も照れるしかなかった。

「皆んなの分もちゃんと用意してますから。皆さん、お疲れ様でした。そして、おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「こんなサプライズ、入社して初めて。」

皆んながそれぞれ礼を言ってくれて、喜んでくれた。
俺と沢村は小さくガッツポーズをした。

「でも、花束の大きさの違いは愛情の深さの違い
だな。」

藤田さんが笑いながら余計な添える。

「それはそうですよ。僕の野崎さんへの愛情は、
無限大ですから。」

あんまり真面目に言うのも恥ずかしいから、これ
ぐらいにしておいた。

それでも、周りは大盛り上がりだった。
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