お願い、名前を呼んで。
私達は、駅に向かって歩き出した。
駅ビルには、それなりのお店が入っていて、社内の人達と飲む時の定番になっている。

「何を食べたいか、決めた?」

「うーん、何でもいいけど、気取らないお店がいい。」

「相変わらず、色気ないな。たまには、フレンチとかでもいいんだぜ。俺、今、出張手当が出てるから小金持ちなんだ。向こうじゃ、使う時間もないからな。」

「それは心強いお言葉で。でも、私は居酒屋がいい。最近、クライアントとの会食とかが続いてて、かしこまるのに疲れたんだよね。」

「よし。それなら、今日は気楽に飲もうな。」

竹内君が、私の頭をグシャって撫でた。

「やったー!」

撫でられたことに、胸がキュンと鳴った。
照れ隠しに、大袈裟に喜んで見せた。

「可愛い奴だな。」

竹内君は満足気だ。
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