お願い、名前を呼んで。

「野崎さん、今回の物件、壁は何色の予定でした？」

今回のプロジェクトチームのメンバーでもある藤田さんが図面を持ってデスクにやって来た。

「うーんと、今のところ木目調の予定です。今日のクライアントの意向次第では変更になる可能性もありますが。」

「じゃあ、木目調と一応、白壁パターンを用意しておきますね。」

「ありがとうございます。コンセプトは前回のミーティングから変更ないと思うので。」

「了解。昼前にはできると思うので、また持って来ます。」

「よろしくお願いします。」

これで、今日のお昼抜きは決定だなと覚悟を決めて、パソコンに向かい打ち合わせ用の資料を準備する。

家具の色や生地の種類、それぞれの特徴を活かした配置を考えながら、数パターンのデザインを用意する。