お願い、名前を呼んで。
竹内君の存在
藤田さんは一通りの削減プランを説明してくれた。

それは小さな変更を積み重ねて、今までのデザインを大きく変更をする必要もないものだった。

これなら、完成までの工期にも間に合う。

ただ、インテリア素材のランクを下げてしまっては、結果、安っぽく見えてしまうかもしれない。

「私はできれば素材の変更は最小限に抑えたいです。折角だから、うちの会社の製品を愛着を持って、永く使って貰いたいんです。」

「うーん、そうか。」

「野崎さん、この事を竹内には相談した?」

「いえ、竹内君も忙しいし、今は、東京にもいないですし。」

「あいつが今、取引きしてる業者どこかな?
こっちの分と抱き合わせにしたら、安くして貰えるんじゃないか。竹内が取り扱ってるのは、ショッピングモール全体だから、発注量も半端ないだろ。交渉の余地はありそうだけど。」

「そうですね。それは有りかもしれませんね。」

「どうしたの、野崎さん、乗り気じゃない?野崎さんのためなら、竹内は喜んで協力してくれると思うけど、同期なんだしさ。」

確かに、竹内君は『困ったことがあったらいつでも連絡して来い。』って言ってくれた。

でも、だからと言って、自分でまだ何もしていないのに、助けてもらうのは違う気がする。
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