お願い、名前を呼んで。
「そう言えば、月曜日にプレゼンが落ち着いたら、
藤田さんと飲みに行こうって話してるんだよね。」

「まさか二人で?」

「まだ、具体的には決まってないけど、もちろんメンバーのみんなも誘うつもりだよ。流石に既婚者と二人は不味いでしょ。」

俺は、優香が俺以外の他の男と飲むと聞いて、無性に腹が立って来た。

何で、俺じゃないんだよ!

「そうか、せいぜい楽しんで。俺は俺でこっちで楽しむわ。」

投げやりになって、思ってもいない事を口にした。

「そうだね、その方がいいよ。竹内君もたまには息抜きも必要でしょ。そう言えば、白井さんとか誘えばいいじゃない?仕事仲間なんでしょ?」

「ああ、そうだな。じゃあ、明日も頑張れよ。」

俺は電話を切った。

優香は俺が優香以外の女と飲みにいっても平気なのか。
あの夜は幻だったのか、夢を見ていたのかとさえ思う。

でも、俺はこのまま終わらせるつもりはない。
これまでの長い時間を、無駄にする訳にはいかないから。
優香を他の男に取られるなんて、想像もしたくない。

仕事の都合を付けて、何としても、近いうちに
優香に会いにいかなければ・・・。
3ヶ月なんて待てないし、待つつもりもない。

酔った頭で、決意を固めた。
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