お願い、名前を呼んで。
「ごめん、そんなつもりはなかったんだよ。野崎さんにはそういう人いないの?野崎さんならモテそうなのに。」

「そんな慌てたフォローなんて要りませんよ。
私は気楽に一人を楽しんでます。今日だって、仕事がなければ、きっと、家でダラダラとテレビを見て過ごしてただけですよ。」

「昼からお酒を飲みながら、ダラダラ過ごすのも休日の醍醐味だけどね。」

「それはたまにするからいいんですよ。独身女が、毎週末にそればかりじゃ寂し過ぎますけどね。」

「じゃあ、野崎さんも素敵な彼氏でも作って、楽しい週末を過ごせるように願ってるよ。でも、仕事も頑張って欲しいけどね。」

「残念ながら予定もないですし、当分は仕事に専念しますから、ご心配なくです。」

「でも、竹内がいるんじゃないの?」

藤田さんが珍しく、プライベートに斬り込んで来る。

「竹内君は、ただの同期ですよ。」

「そうかな。僕なら、いくら同期だとしても何とも思っていない女性のために、あんなに頑張ったりはしないよ。」

「確かに、今回の件ではすごく助けてもらって、感謝してますよ。でも、それだけですよ。」
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