お願い、名前を呼んで。
「この度は、私共の部下、いや仲間がお世話になっております。私の自慢の仲間ですので、本日のプレゼンもお楽しみになって下さい。」

「山田さんがそう仰るなら、それは楽しみですね。期待してますよ、野崎さん。」

正に、腹に何かを抱えた者同士の大人の会話だと恐れ慄く。

「では、早速、始めて頂きましょうか。山田さんも来て頂いているなら、今日は話がスムーズに進みそうですね。」

内田部長は嫌味を忘れない。
私達への威圧が込められている。

私は提案資料をそれぞれにお渡しして、さっそく話を始めた。

私のパートと藤田さんとのパートの棲み分けもスムーズで、山田部長とのシュミレーションが役に立った。

全てのプレゼンが終わると、内田部長が拍手をした。

「いや、素晴らしいご提案をありがとうございます。」

「ご拝聴、ありがとうございました。」

「デザインも良いですね。私も気に入りました。
ただ一つ、よろしいでしょうか?」

「はい、何でしょうか。」

内田部長は、ここにいる全員が予想した通りの言葉を続けた。
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