夏の花火があがる頃
第14話 海辺の街
高田馬場駅から降りると、酔っ払った私大生達がどんちゃん騒ぎをしている。
夜中に騒ぐ、大体の若者はその私大生達で埋め尽くされている。
少しばかりの現実への不安と戦いながらも、自分の未来を何の疑いもなく生きている。
突然の呼び出しにも関わらず、翔は快く応じてくれた。
「悪いな」
「いいや、悠也のお願いくらい聞くよ。昔、ノート写させてもらったし」
「何年前の話をしてるんだよ。中学生の頃の話だろ」
「俺、意外と義理堅いのよ」
あそこの焼き鳥屋でいいか?と翔が尋ねるので、悠也は大丈夫だと頷いた。
食べ物も、飲み物も何でもよかった。
店の中に入ると、カウンターしか空きがなかった。
なく、そこに座り、おしぼりで手を拭く。
が運ばれてきて、「生二つ」と翔が頼んだ。
「悠也は何食う?」
「何でも」
「じゃあ、レバ刺しと、ねぎまと、鶏モモと、めんどくさいからおまかせセットでいい?」
「いい」
何でもと答えた悠也に本当に遠慮なしに翔は、自分の好きなものを店員に頼んだ。
「で、何があった?」
注文も終えて、一息ついたところで翔は悠也に尋ねた。
悠也は、鞄の中から慎吾の日記を取り出し、翔に渡した。
慎吾の母から受け取ったこと、めぐみが慎吾の死から乗り越えられていないこと。
彼女をどうにかしたいこと。
翔は悠也の言葉を頷きながら聞き、一言「難しいよ、悠也」と答えた。
「……そうなのか」
「人の心はデリケートだから、トラウマを抱えた人間の心を、そんな簡単に戻しましょうと言って戻るもんじゃない。俺は、医者だけど精神科医じゃないからそっちの方は専門外だけどさ」
「……どうすれば」
「誰かが、辛抱して寄り添うしかないよな」
「……」
「その人、家族はいないの?」
夜中に騒ぐ、大体の若者はその私大生達で埋め尽くされている。
少しばかりの現実への不安と戦いながらも、自分の未来を何の疑いもなく生きている。
突然の呼び出しにも関わらず、翔は快く応じてくれた。
「悪いな」
「いいや、悠也のお願いくらい聞くよ。昔、ノート写させてもらったし」
「何年前の話をしてるんだよ。中学生の頃の話だろ」
「俺、意外と義理堅いのよ」
あそこの焼き鳥屋でいいか?と翔が尋ねるので、悠也は大丈夫だと頷いた。
食べ物も、飲み物も何でもよかった。
店の中に入ると、カウンターしか空きがなかった。
なく、そこに座り、おしぼりで手を拭く。
が運ばれてきて、「生二つ」と翔が頼んだ。
「悠也は何食う?」
「何でも」
「じゃあ、レバ刺しと、ねぎまと、鶏モモと、めんどくさいからおまかせセットでいい?」
「いい」
何でもと答えた悠也に本当に遠慮なしに翔は、自分の好きなものを店員に頼んだ。
「で、何があった?」
注文も終えて、一息ついたところで翔は悠也に尋ねた。
悠也は、鞄の中から慎吾の日記を取り出し、翔に渡した。
慎吾の母から受け取ったこと、めぐみが慎吾の死から乗り越えられていないこと。
彼女をどうにかしたいこと。
翔は悠也の言葉を頷きながら聞き、一言「難しいよ、悠也」と答えた。
「……そうなのか」
「人の心はデリケートだから、トラウマを抱えた人間の心を、そんな簡単に戻しましょうと言って戻るもんじゃない。俺は、医者だけど精神科医じゃないからそっちの方は専門外だけどさ」
「……どうすれば」
「誰かが、辛抱して寄り添うしかないよな」
「……」
「その人、家族はいないの?」