闇夜に咲く芍薬のように
「ーーあの、羅陽さん…。」
「羅陽でいいよ。」
「羅陽、あの…私もう歩けます。下ろしてください。」
街中でのお姫様抱っこに向けられる視線に耐えられなくなり、そう伝えた。
「何、気にすることはない。
みんな私が女性を連れていることに驚いているだけだよ。」
「え、でも…。」
それから彼はどんな言葉をかけても返してくれず、私もしょうがなく口を閉じた。
そして、抱かれたまま近くに止められている牛車に乗せられた。