闇夜に咲く芍薬のように
「ここが羅陽のお屋敷なの…?」
「あぁ、羅家の荘園だ。本邸は都の朱雀大街にある。」
ーー朱雀大街…?
「美麗、さぁこちらへ。」
意味のわからない言葉に首を傾げながら、手を引かれてたどり着いたのは、正面にある一際目立つ、左右対称の煌びやかな建物。
「私は屋敷にいる時はいつもここにいるから、用があったらなんでも言うといい。
まずは部屋に行って着替えてきなさい。その格好は目立ち過ぎる。」
そう言って、近くにいる侍女を呼び寄せると、羅陽は建物の中に入っていった。