闇夜に咲く芍薬のように



ーー確かに、この世界で花柄のシフォンワンピースは目立つわね…。

自分の体に視線を落とした後、
先程わざわざ衣で隠すようにお姫様抱っこをしていた羅陽(ルオヤン)の行動に妙に納得がいった。



「美麗様、どうぞこちらへ。」



侍女に案内されて、向かったのはお屋敷の西側にある棟。



「こちらでございます。」



そこは、幾何学模様の格子が美しい大きな窓がある部屋で、奥の続きの間には天蓋付きの豪華なベッドがあった。



「私は身の回りのお世話をさせていただきます夢華(モンファ)と申します。」



その部屋で控えていたのは、まだ12.3歳くらいの幼い少女だった。
笑った時にできるえくぼが可愛い女の子だ。

< 16 / 40 >

この作品をシェア

pagetop