闇夜に咲く芍薬のように



ここはきっとどこかの倉庫だ。

その倉庫の一室に置かれたベッド。
そこで女の人が襲われている。

私はなぜか、その部屋の隣にある部屋にいる。



二つの部屋の間には格子窓があって、そこからその行為の様子が見えてしまう。



ーーどうしたらいいの…。



女の人の涙で濡れた顔に胸が痛むのに、怖くて体が動かない。


女の人を襲っているのは、逞しい身体をした大男で、私が止めに入ったところですぐに吹き飛ばされるのが目に見えている。


それに、私がここにいることがバレたら、私もきっとあの男に襲われる。

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