闇夜に咲く芍薬のように
「あんなに楽しそうな旦那様、初めてみましたわ。」
羅陽ルオヤンの乗る牛車を隣で一緒に見つめていた夢華モンファがそう口を開いた。
「私が奉公を始めた頃には、すでにご両親を亡くされていて、立派に羅ルオ家の当主を務めていらしたので…
なんていうか、こう、お歳よりもずっと大人びていらっしゃる方でした。」
夢華モンファはそう言って目を細めた。
「羅陽ルオヤンのご両親は亡くなられてるのね…。」
「はい。本家のご親族はお祖父様に当たられる大旦那様のみです。」
「そうなの…。」
確かに旦那様と呼ばれるにはまだ若いとは思っていたけれど…。