闇夜に咲く芍薬のように
慌てて着物を直しながらそう言う大男は、ドアを蹴破り入ってきた男の顔を見て、焦ったように顔を歪ませた。
「羅陽…様。」
ルオヤン…?
男の発した言葉にドアの前に立つ男を見たが、駆け足で近づいてくる多くの足音に思考を止めた。
「拓的、お前には失望した。
官職につきながら、その権力を利用し、多くのものを苦しめた。
お前を連続婦女暴行、及び誘拐の容疑で逮捕する。
…連れて行け。」
その言葉の後、足音の正体である、兵士のような人達が大勢部屋に入ってきて、男を拘束した。
「どうか、どうかお許しを…!」
大男は兵士に拘束されながらそう助けを求めたが、目の前の男は一度も視線を向けることはなかった。