闇夜に咲く芍薬のように
「さて…ーーキミは?」
必ず触れられるだろうとは思っていたが、なんと答えていいか分からず唇を噛む。
目の前の男のなんとも言えない威圧感に、顔を上げることができず、抱える膝を見つめる私。
「喋れないわけではないだろ?」
そう言って、顎を掴まれたと思ったらくいっと顔を上へ向かされた。
「っ。」
視界に飛び込んできた美貌の男に息を呑む。
傷ひとつない滑らかな肌に、水晶のように透き通る瞳。筋の通った高い鼻に、薄く形のいい唇。
漆黒の髪は、絹糸のようにサラサラと靡いている。
着物のような、チャイナドレス(…男の人だからドレスじゃないか)のような不思議な服に身を包んでいる。