お前なんか!!~世間知らずなお嬢さまは執事を所望する~

「岬は貴女を恨んでますよ。……執事なんて身分にされて……」

秀星の言葉に彩乃は驚きに目を開き、悲壮な顔をした。

「そんな……」

彩乃の眦からぽろりと涙が零れる。秀星がそれを拭おうとして、でも彩乃は秀星に触れさせなかった。

「慰めないでください……。私が悪いことをしたのなら、泣くのはお門違いで、私は謝らなければならないわ……」

ぽろぽろ零れる涙を何度も拭いながら、彩乃は言った。悲しみの色に塗りつぶされてしまった瞳には、秀星は映っていなかった。





その夜、岬は寝付けなかった。この屋敷に連れてこられた時も彩乃に対する憎しみで眠れなかったけど、今回の理由はそうではなかった……。

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