Livre magic〜好きな人の大切な人〜

「泣かないで……」

僕は慰めようとして、その男の子に手を伸ばす。でも、男の子の肩に触れたはずの手はすり抜けていった。触れたり、声をかけることはできないみたいだ。

相変わらず男の子は泣き続けている。どうにかしてあげたい。この子の涙を止めてあげたい。どうしたらいいんだろう……。

「俺が妹に会わせてやろうか？」

僕の背後から、ボイスチェンジャーを使った時のような声が響いた。男の子が顔を上げ、僕は後ろを振り向く。しかし、僕の背後は景色が見える前のような暗闇だった。その暗闇の中から、もう一度声が聞こえてくる。

「俺に服従を誓い、俺の駒となるのなら、お前の妹を蘇らせてやろう」

怪しすぎる内容だ。でも、幼い男の子は「アイツに会えるのか！？なら、俺は何でもする！！」と泣くのをやめて言った。

「いい返事だ」

暗闇の中から、白い光が飛び出してくる。その光は男の子に当たり、男の子を包んだ。その光は小さな球となり、真っ白で何も書かれていない本に吸い込まれていく。また、景色が歪んだ。