Livre magic〜好きな人の大切な人〜
男の子が目を開けた時、そこには何もない真っ白な空間が広がっていた。男の子は辺りを見回し、誰かの名前を呼び続け、歩き出す。でも、どこまで進んでも真っ白な世界だ。

「馬鹿な子どもだ。死人に逢えるはずがないだろう」

ボイスチェンジャーがかかった声が天から降ってくる。そして、男の子は騙されたことに気付いた。その目からは涙がこぼれていく。

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

凄まじい慟哭だ。僕の瞳からも何故か涙がこぼれていく。そして、僕の体は白い光に包まれた。



「ーーール!ノワール!」

僕が目を開けると、メルキュールが心配げな顔をしていた。僕の周りにはリオンとカズ、シャルロットもいて、目が覚めたことにホッとしている様子だ。

「えっと、物の怪は?」

僕が訊ねると、「俺たちで倒した」とカズが答える。僕はどれくらい眠っていたんだ。脳震盪で長時間も意識を失うなんて……。我ながら情けない。

「大丈夫ですか?頭を打ったことが原因で、大病を発症することがあります。元の世界に戻ったら、病院で診てもらいましょう」
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