記念日はいつもバレンタイン
 次の日から、表面上は普通を装いながらも、ふたりともなんとなくギクシャクしたままだった。
 すぐに3学期が始まり、俊兄ちゃんも卒業前で友人との付き合いが忙しいらしく、会えない日が続いた。
 そして、3月からの家庭教師は、俊兄ちゃんの高校時代の後輩に頼むことになった。

 あっという間に2月になった。
 わたしは焦った。
 もしこのまま、気まずいままで、俊兄ちゃんが東京に行ってしまったら。
 それは絶対に嫌やった。

 そう。
 2月と言えば、バレンタイン。
 神さんか聖人さんか知らんけど、めっちゃいい機会を提供してくれはった。

 やっぱり告白するしかない。
 俊兄ちゃんは、ちょっと困った顔をして、やんわり断るに決まってる。
 それはわかってる。
 だって、俊兄ちゃんにとって、わたしはいつまで経ってもチビのままやから。
 でも、この機会を逃したら、一生後悔する。
 このまま会えなくなっちゃうなんて、絶対に嫌や。

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