恋のバレンタイン
いつもの帰り道。
俺の部活がない日はのぼる達と別れた後
晶を家まで送るのが日課になった。
晶にまた何かあって俺のせいで怪我させて
後悔するのはごめんだ。
のぼる達も送っていけってうるさいし
なにより強がりな晶を一人にするのは心配だ。


他愛無い話をして歩いていると

「あっ、明日エリカちゃんち行くから
帰り送らなくてへーきだよ!」

「ふーん、なんかあんの?」

「バレンタインのお菓子作り!」

「へー、晶に出来んのか?」

「うるさいわね、あたしだって一応女子なんだから!」


…お菓子作りということは、
誰かに渡すっていうことか?

「で、誰に渡すんだよ!」
俺は何も悟られないように明るく言った。

「武には関係なーい!あたしが誰に渡そうと関係ないって言ってなかった?」

「っ!!別に気にしてるわけじゃねぇよ!」

「武も女の子に貰えるといいね!
じゃ、送ってくれてありがとー!」



憎たらしい笑顔を向けて明るく手を振る晶を
良い気がしないまま見送った。
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