チョコレートリボン
(ううっ、ううっ・・・)


流れそうになる涙をこらえ、空の青から目をそらす。

どうしよう。

こんなバッハなヘアスタイルじゃ、リョウくんに嫌われてしまうかもしれない。


(もう、ドタキャンした方がいいのかな・・・)


嫌われてしまうくらいなら。

だけど、楽しみにしていた初デート。

せっかく、リョウくんに会えると思っていたのにな・・・。

「あれ?なずなちゃん?」

「!?」


(こ、この声は・・・!)


後ろから聞こえたその声に、私はびくりと肩を震わせた。

リョウくんだ。この声は絶対リョウくんだ。

私はとっさに、両手で頭を抱えてしまった。

「なずなちゃんだよね?この前とカバンが一緒・・・」

話しながら、リョウくんは私の真正面にまわりこむ。

そして、うつむく私の顔を心配そうにのぞき込んだ。

「どうしたの?頭抱えて」

「あ、あの・・・」

そういえば。

リョウくんは近眼だって言っていたっけ。

ちゃんと見えてないのかもしれない。

「か、髪がヘンなの」

「え?」
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