チョコレートリボン
泣き出しそうになりながら、私は言った。

すると、リョウくんは私の両手を頭からほいっと軽く外してしまった。


(あっ・・・!)


バッハスタイルが全開に。

もうダメだ!と涙がこぼれそうになった時、リョウくんは、「ははっ」と優しい声で笑った。

「かわいい」


(・・・え?)


その声は、ばかにするような感じじゃなくて。

おそるおそる顔を上げると、リョウくんの明るい笑顔が目に飛び込んだ。

「人形みたいだね。外国の、女の子の」

「・・・」

「かわいいよ?デートのためにしてきてくれたんじゃないの?」

「ち、違くて・・・」

私は、ここに至るまでの経緯をリョウくんに話すことにした。

ゆるふわな感じにしてもらえると思っていたら、バッハスタイルになったこと。

美容師さんは満足そうで、とれないようにがっちり固められてしまったことを。

「そうだったんだ」

「ごめんね・・・。一緒にいるの恥ずかしかったら、今日はもう帰るから」

かわいいと言ってくれたけど、もしかしたら、なぐさめてくれただけかもしれない。
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