笑顔の花が咲くまでは#1~特殊捜査員になります~
笑いが収まるまで無表情で見ていたフィオナは、口を開く。

「私は、フィオナ・カモミールと言います。『真実の一部を見る力』を持っています……長いことは見れませんが、少しくらいなら……」

「僕は、エヴァン・カランコエと言います。『動物の声を聴く力』を持っています!」

エヴァンが自己紹介をした途端、シオンは「動物の……声?」と呟いた。

「……今回の件、エヴァンくんに任せた方が良いかも。実はね、最近……闇市で密猟された希少動物の売買が増えてて……動物園からも動物が盗まれてるらしいんだ」

サルビアの言葉に、エヴァンは驚く。

「……協力してくれないかしら?」

エヴァンはシオンに見つめられ、昔のことを思い出した。

エヴァンは昔、ジニアと言うゴールデン・レトリーバーを飼っていた。エヴァンは幼い頃から動物が大好きで、ジニアを可愛がっていた。しかし、ジニアは往生際で亡くなってしまったのだ。

ジニアを看取ったエヴァンは、ジニアを抱き締めて泣き崩れた。その時、エヴァンの耳に「ありがとう」「だいすき」「わすれないで」と言う声が聞こえたような気がした。

「……」

エヴァンはサルビアから聞いた事件の内容に、胸を痛める。そして、エヴァンはフィオナの方を向いた。

「犯人を捕まえよう!」

エヴァンの言葉に、フィオナは頷いた。
< 6 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop