笑顔の花が咲くまでは#1~特殊捜査員になります~
目を閉じながらそう言うフィオナに、皆は顔を見合わせた。



フィオナの能力のおかげでアジトを見つけ出したフィオナたちは、レティシアとレイモンドを除いた全員でエヴァンとシオンを先頭にアジトである廃ビルの中へと潜り込んだ。

「……暗いし、何だか不気味だ……」

電気の付かない通路を歩いていたエヴァンは、そう言いながら近くに落ちていた竹刀を拾う。

ここに竹刀が落ちていることに疑問に思いながら、エヴァンは竹刀の柄を握り締めた。

「誰だ!そこにいるのは!」

暗闇から数人の男性が姿を現す。密売グループの一員が姿を見せたということもあり、特殊捜査チームの皆は身構えた。

「……ここから立ち去れ!」

そう言って、鉄の棒を持っていた男性がエヴァンに向かって殴りかかる。エヴァンは、それを避けると隙を見つけて竹刀で脇を叩いた。

男性は、叩かれたところを押さえて蹲る。エヴァンは竹刀を構えると、男性たちを見据えた。

フィオナはそんなエヴァンを見て、戦場で戦う剣士みたいだな、と感じた。

フィオナがふと辺りを見渡すと、サルビアの姿が見えないことに気が付いた。シオンに声をかけようとするが、フィオナ以外の全員は男性たちと対峙しているところで、声をかけれそうに無かった。
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