白き髪のガーネット【改訂版】
***

クー兄様を連れて来たのは、中庭にある私のお花畑。綺麗に咲いた色取り取りの花を見せたかった。

「見て見て!クー兄様、あれ!……っ」

けれど、その場所は夜のせいで薄暗い。
昼間は太陽の光を浴びてあんなに美しく輝いていたのに……。せっかくの綺麗なお花の色も、今は夜の闇に包まれてなんだか霞んでしまったように見える。

今日はクー兄様のお誕生日。
喜んでもらいたかった私がしゅんとして俯くと、傍に居たクー兄様がパチンッと指を鳴らした。
その直後。クー兄様の掌から紅い炎が現れ、驚く私にフッと微笑むと、まるで中庭に炎を放つように手をしなやかに動かす。
すると放たれた炎は小さく分裂して、私のお花畑の周りを明るく照らしてくれた。

「!……わぁ~っ!」

優しい暖かい炎に照らされたお花畑の花達は、昼間の太陽に照らされて輝いた時とはまた違う美しさを醸し出す。

「綺麗だね。
ガーネットの想いが込もったお花だからかな?」

そう言って、クー兄様は微笑んでくれた。
その言葉が、笑顔が嬉しくて、私も微笑む。

「クー兄様!お誕生日、おめでとう!」

「ありがとう、ガーネット」

幸せな時間。
やっぱりクー兄様と二人きりの時間は私には特別な時間だ。
ずっとずっと続いてほしい。一緒に居たい。

ーーでもね。
クー兄様は決して、私だけのものにはならないの……。

私が手作りの花冠をクー兄様の頭に載せてあげて、顔を合わせて微笑み合った時だ。
廊下からバタバタと誰かが駆けてくる足音が聞こえてきて私達の元にやって来たと思うと、その者は地面に片膝をついてクー兄様に頭を下げた。

「クウォン様!
このような時間に申し訳ございません。……風の国が、動きだしました」

そう伝令を伝えに来たのは、赤い髪に瞳の男性。
メルの双子のお兄さんのアルトさん。
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