白き髪のガーネット【改訂版】
嬉しい。
ドキドキする。
こんな視線で見つめられて、心が揺さぶられない筈がない。
ーーでも、ダメ!
今日は、このまま流されたくないっ……!
「ガーネット、俺は……」
「ーークー兄様!私、っ……負けませんから!!」
ギュッと拳を握り締めながら、自分よりも背の高いクー兄様を見上げて伝える。
「他の女性にもっ……。母様、にも……負けませんッ!」
「!……えっ?」
目を見開いて、私を見つめるクー兄様。
その瞳に特別に映るのは、私だけで在ってほしい。
「クー兄様の事を誰よりもお慕いしているのは私ですっ!
例え、クー兄様がいつかご正室を迎えても……。クー兄様にとっての1番は、絶対に私がなってみせますッ!!」
今、クー兄様の心の中にいるのが母様でも……。その代わりでも……。
いつか大国のお姫様が正室に来ても、変わらない。
「私よりも、クー兄様を大好きな人なんていないんだからっ……。
覚えておいて、下さいッ……!」
クー兄様に相応しい女性に、他の誰とも比べられない存在になってみせるーー!!
そんな強い想いを抱きながら自分の精一杯を言葉にした。
それはずっとずっと心に秘めて言えなかった、私の愛の告白。
けれど。その告白を聞いたクー兄様は、私の頬に触れていた手を引っ込めて、自分の顔を隠すように覆うと少し俯く。
「?……クー兄様?」
その反応に"どうしたのか?"と私が顔を覗き込むと……。
「っ……ふふっ、はははははっ!!」
クー兄様は突然声を上げて大爆笑しだした。
片手でお腹を押さえて身を捩り、もう片手は笑い過ぎて目尻に溜まった涙を拭っている。
「なっ!
なによっ!なんで笑ってるのっ……??」
自分なりの一生懸命な告白。
その直後のクー兄様の予想外の大爆笑。
訳がわからない。