白き髪のガーネット【改訂版】
突然の訪問に、そして聞いていたイメージと違うクウォンとゼアス様の親子関係に最初は驚いたが……。血の繋がった親子だからこそ、そして現国王とその跡取りだからこその難しい問題もあるのだろう、と私は自分の中に感じた違和感を振り払った。
ゼアス様が私とクウォンの結婚を祝福してくれて、私の事を嫁だと認めてくれた。
その事が何よりも嬉しくて、幸せで、"このままで良い"と……思ってしまったんだ。
クウォンもゼアス様が帰られてからは普段通りで、私の大好きな彼だったから、その笑顔の裏側を疑う事なんてなかった。
私はクウォンを、信じていたから……、……。
……
…………。
クウォンの側室になったこの日から、私の毎日は変わり始めた。
側室という立場になった事で堂々とクウォンの傍に居られるようになったし、まだたいして役に立てないけど一緒にお仕事に付いて行けるようになった。
クウォンの傍で妻としての仕事、そして戦や世の中の事を学ぶ毎日。
大変だけど、以前よりもずっとずっと近くに居られる。
もう帰りを待っているだけの子供じゃない。
私は、本当に幸せだった。
そして、幸せな時間はあっという間に過ぎて行くーー。
一年の月日が流れて、私が16歳になった時。ついに、人生最大の転機が訪れる。
ずっと、敵対していた水の国との戦。
私はその戦で大役を任される事になり、そこで功績を挙げればクウォンの正室になれる事が決まった。
本来ならば国の為、未来の為に他国のお姫様を迎えるのが仕来りだが、炎の国の現国王ゼアス様が私を気に入り、側室という立場で在りながらクウォンの側で様々な事を学ぶ頑張りを認めて下さり、特例で与えてくれたチャンス。
私は、これを逃してはいけないと思った。