白き髪のガーネット【改訂版】
翌日ーー。
ここは水の国の砦。
「っ……」
「!……ガーネット様。
大丈夫でございますか?」
水の国王様が来るまで待たされている部屋の中で、私は地面に跪き控えながら片手で頭を押さえた。
今朝からずっと頭痛が続いている。水の軍に近付くほどそれは強くなっている気がして……。
何故だか、私は早くこの場を離れたいと思ってしまう。
「……大丈夫よ。
堪えられない程じゃないから」
隣に居るメルに微笑んで私は気を引き締めた。
無事に交渉を終わらせるまで、クウォンに良い結果を報告出来るまで、私は帰る訳には行かない。
今、部屋の中に居る味方はメルのみ。
他の私の兵達は警戒を解く為外で待機している。
きっと緊張や不安からくる頭痛だろうと、私は必死に自分の気持ちを奮い起こし水の国王様の登場を待った。
すると……。部屋の外から足音が聞こえたと思うと、入り口の扉がガチャッと開けられる。
私はハッとして、跪いたまま顔を伏せた。
相手から声が掛かるまで顔を合わせてはいけない。
地面を見たまま声が掛かるのを待っていると、私達の居る部屋の上座にある椅子に水の国王様が座った気配。
「……そなたが炎の国の使者か?
……。面をあげよ」
上座から聞こえてきた、若い、優しい声。
王様って聞くと何処か年配の男性をイメージしてしまうが……。
ーーそうか。10年前に先代国王が亡くなってその息子が跡を継いだんだもんね。噂で聞い年齢は、確か私と二つ位しか違わない。
自分と年齢が近い。
そのせいだろうか?私は、水の国王様の声を聴いた瞬間に少し気持ちが和らいだ。
「はっ。本日はこのような場を設けて頂き、心より御礼を申し上げます。
私は炎の国第三王子クウォンの代理で参りました、側室のガーネットと……。……っ?」
”ガーネットと申します”ーー。
そう、水の国王様の顔を見て、言おうとした瞬間だ。