白き髪のガーネット【改訂版】

大好きな二人が……。
クウォンとヨシュア兄様が、争い合うなんて…………。

耳も、目も、塞ぎたくなる私に、羽交い締めにしているクウォンが私の首元に……。剣を突き付けた。

「……妹姫の命が惜しければ、降伏しろ」

ククッと、感情のない、渇いた笑いが、私の耳元で響く。

「全てはこの日の為に、こいつを生かしてきたんだ。
炎の国に全てを明け渡すと誓え、ヨシュア王。たった一人の大事な肉親だ。
……もう、失いたくないだろう?」

私の大好きな声、じゃない。
冷たい、低い、ゾクッとする響き。

……
…………もう、聴けないの?
もう、呼んでくれないの?

”ガーネット”って、あの優しい声で……。


「っ……嘘。
……こんなの、違う……ッ」

自分の前に回されているクウォンの腕を、私は震える手で握り締めた。

この戦が終わったら、私を正室にしてくれるって……。
ずっと、永遠に傍にいてって……。
愛してる、って……クウォンは言ってくれた。

こんな、私を人質にするような事。
相手を強請るような真似、する筈ない。

「……。
俺はお前が大切だよ」

今にも崩れてしまいそうな私の心に、クウォンの声が滲みる。

信じたい。
貴方を、信じたい。
クウォンの言葉を、聴きたい。

彼の一言が、あれば良かった。
”ガーネット、愛してる”
そう言ってくれたら、私は……。


「ーー大切な大切な、交渉の材料だ。
俺の役に立ちたかったんだろう?炎の国に勝利をもたらす石に、なっておくれ」

期待した私に届いたのは、そんな言葉。


心がヒビ割れて、胸が張り裂けそう。
クウォンの心があれば、どんな過去があっても、何が真実でも私は良かった。

ずっと貴方の傍で輝く''宝石(ガーネット)"でいられたのにーー!!
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