白き髪のガーネット【改訂版】
炎の国を滅せると……。
クウォンを倒す事が出来る、と……。
「ーー無理だな」
水の軍の声援に応える事が出来ないでいる私を見て、クウォンが笑いながら言った。
「その小娘には無理だ。
俺に刃向かう事など、出来んッ!!」
剣を構えた彼が、あっという間に間合いを詰めて来て、私に刃を振り下ろす。
ガッキイィィーーンッ……!!!!
金属のぶつかる音。
私に振り下ろされた刃を止めたのはヨシュア兄様。
二人はバッと一度離れるが、すぐにまた刃を交え合う。激しい攻防。
……でも。二人の表情を見れば分かる、差が歴然すぎる。
笑みを浮かべながら余裕を見せるクウォンと、重い攻撃を受け止めるのが精一杯で顔を歪ませるヨシュア兄様。
っ……このままじゃ、ヨシュア兄様がッ……。
ヨシュア兄様が殺られてしまうーー!!
そう思っても、私の身体は動かず見ている事しか出来ない。
「っ……ヨシュア様ッ!!」
押されているヨシュア兄様を庇うように、割って入ってクウォンの刃を受け止めるのはグラン将軍。
「久しいな、グラン将軍。
ほら、しっかり守らないとまた主を失うぞッ!!」
クウォンは攻撃の手を緩めない。身を翻し、攻め手に回り続けてグラン将軍を押している。
こんなに、強かったのーー?
味方の時の安心感が、敵になると恐怖に変わる。
そして、それと同時に確信する。
クウォンは、本気だ。
本気で、水の国と……。私と、敵対するつもりなんだ。
天を見つめて目を閉じると、溜まっていた涙が、スゥ……ッと頬を伝って、地面に落ちていった。
「アルト!メル!
一気にカタをつけるぞッ……!!」
クウォンの声に二人は「はっ!」と返事をすると、入れ替わるようにグラン将軍とヨシュア兄様に攻撃を仕掛けた。