白き髪のガーネット【改訂版】
ーーー神様は見てるんだよーーー
そう、言われた気がした。
『何故?息子がようやく妻を娶るというのに、父上の私がお祝いに来てはおかしいか?』
あの日、父上がわざわざ離宮を訪れて来たのは"お前の考えなどお見通しだ"という警告。
そして半年前。
兄上が何者かの手によって暗殺された。
ガーネットに『戦で功績を残せばクウォンの正室として認めてやろう』と父上が告げた真意は、俺に"この女を使うのは今だろう?"という事。
ーーやっと、確信した。
俺とガーネットが結ばる日なんて、来ない事。
どんなに望んでも、許されない。
掌に大切に握り締めていても、サラサラと砂のように零れ落ちて行くんだと……、……。
そして……。
水の国との、戦が決まった。
俺に出来る事は、もう一つしかない。
ガーネットを水の姫に、還してやる事だけーー。
……でも、もし。
もし、彼女の兄である水の王に再会しても記憶が戻らなかったら……。ガーネットが、ガーネットのままだったら……。
その時は、もう一度君を抱き締めたかった。
そんな奇跡は、起こる筈もないのに……、……。