水深
* * *
「…… なんで、そう思うの?」
私は眉間の皺を戻し、努めて明るい笑顔で言葉を返す。
(そんなに分かりやすい素振りはしてない……はず)
冷静に冷静に、と自分を抑え私は羽崎を見る。
いつも通り顔はヘラヘラと笑っているが、目の奥はひとつも笑ってない。
「んーじゃ、なんで委員長から嫌わてると俺が思ったのかを今から言っていくから」
「疑問点とか違う点があったら言ってね」
私はコクりと頷く。
「そうだな。まず、初めは本のとこ」
羽崎はそう言って人差し指を立てた。
「本?」
「そう、本」