水深
「普通は人って好きなものを話していると少しぐらい興奮して早口になったり瞳孔が開いたりするんだけど」
「委員長にはそれが見られなかった。全然って訳じゃなかったし声のトーンもちょっと上がってたけどそれでも俺の目からはわざとらしく見えた」
「…… 気がしたんだけど?どう?」
(口数の多すぎる男は嫌われるよ)
私はその言葉を必死に飲み込む。
「委員長はよっぽど自分の感情を隠すのが上手いんだね」
(―― っ!)
心を読まれたのかと思った私は思わず動揺しそうになる。
が、羽崎の目に映る自分が笑顔なのを確認して少し安堵する。