水深
私はひとつ深呼吸をして口を開く。
「気のせいじゃないですか?」
「…… それに私昔から感情を表に出すのが苦手で」
(これは、別に嘘ではない)
(まぁ、あの本は別に好きでも嫌いでもないが)
今、流行りだとクラスメイトにおすすめされ読んだだけの本だ。
「だから、そう見えただけじゃない?」
雨がひどくなってきたのか周りの雨音が大きくなっていく。
「ふーむ。なら初めの俺の予想は外れか」
「そうだよ」
「なら、2つ目!」
羽崎が勢い良く2本指を立てる。
「移動授業の時なんだけど」
「書道の時の?」