水深
「全部、大嫌い(大っ嫌い!)」
「うん」
ここしばらく大声を出していなかった私は、酸素がなくなった肺に息を吸い込む為肩を上下させ必死に酸素を取り込む。
(…… 言った。言ってしまった)
背中に冷たいものを感じるのは雨のせいかそれとも一旦、全てを吐き出して頭が冷えたせいか。
頭を上げようにも上げられない。
誰かを怒鳴ったのなんて何年ぶりだろうか。
これからどうすればいいのか、どうしたらいいのか。
もし、このことを羽崎が誰かに言えば、
考えて恐ろしくなる。
ぐるぐると回る気持ちの中で羽崎が発した言葉は意外なものだった。