水深

思考が渦を巻く。


思考を止めれば駄目になってしまう、そんな気がした。


だが、徐々に思考は止まり始め


クラスメイトの冷たい視線が本格的に刺さりつつあった。


(…… なぜ、なぜなんだ)


(なんでそんな目で私を見るの)


震える拳を抑える。


下を噛み笑顔を保つ。


噛まないと笑顔なんて到底保つことなんてできないからだ。


私はなんとか弁解しなくてはと思いその場に留まろうとする。


それでも、視界が暗く歪み始めた時。


「あれっ、皆どうしたの」


場に似つかわしくない明るい声が飛び込んできた。


私を含めクラスメイト全員が声の主のほうへ振り返る。
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