水深
「しかも、まぁなんていうか委員長の本当に大切な物でさ」
「それを俺がずっと隠してたから。本当にごめんね委員長」
いつもの調子で羽崎は言いながら私にあるものを持たせてくる。
そこにあったのはポケットに入るぐらい小さな割れた鏡だった。
その発言と物が出されたことによって教室中がまたざわめく。
「…… えっ、隠してたって」
「羽崎君そんな人だったの」
「最低じゃん。そりゃ委員長も怒るわ」
「委員長、可哀想」
熱い手のひら返しが始まった。
羽崎に冷たい視線が集まるのを感じる。