水深


「しかも、まぁなんていうか委員長の本当に大切な物でさ」


「それを俺がずっと隠してたから。本当にごめんね委員長」


いつもの調子で羽崎は言いながら私にあるものを持たせてくる。


そこにあったのはポケットに入るぐらい小さな割れた鏡だった。


その発言と物が出されたことによって教室中がまたざわめく。


「…… えっ、隠してたって」


「羽崎君そんな人だったの」


「最低じゃん。そりゃ委員長も怒るわ」


「委員長、可哀想」


熱い手のひら返しが始まった。


羽崎に冷たい視線が集まるのを感じる。

< 63 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop