私の好きな彼は私の親友が好きで
翌日、何時もの居酒屋に省吾を呼び出した。
省吾がスマホでメッセージを送る。
「彼女?」
「うん。一応」
「彼女と長いよな?何年?」
「家が隣だから、生まれた時からの知り合いで、
高校1年から付き合っている。かれこれ7年くらい?」
「7年!なが!」
「永いな・・」
「省吾、7年も付き合っていて他に目が行く事無かった?」
「・・・」
長い沈黙の後に
「あったよ。3ヶ月位、他の女と浮気していた。」
「幼馴染ちゃんと別れて?」
「いや、バレないと思っていたんだよね。近くに居るわけじゃなかったし・・」
「バレたの?」
「彼女がこっちに突然、遊びに来たんだ。あちこち廻ってさ~
部屋に連れてきて、さ~ヤルぞ!って、こっちはなるから、
先にシャワー浴びてさ、彼女も浴びるように・・
そうしたら暫くして、彼女が洋服を着たまま出て来て、
俺はパンツ一丁なのに、 彼女はキッチリ洋服を着ているんだよ・・
なんだ?と思うじゃん。
彼女、ハッキリ口にしたんだよ『省君、お別れだね。』って」
「俺、パニックになってさ、『何で?』ってね。『お揃いの食器、
お風呂場にある2種類のシャンプーにコンディショナー。
洗顔フォームにクレンジングオイル。』
そう口にしていた彼女の眼には、涙が一杯溜まっていて、
零れそうなのを抑えているのが、付き合いが長いだけに解ってさ・・
『解っていたんだ。連絡も来なくなっていたし、メッセージも定型文のような
メッセージ。今日は終わりを確認しに来ただけだから・・』
そう言って彼女出て行った。
パンツ一丁の俺が服を着て、追いかけた時にはもう、何処にも居なかった。」
「知らなかった」
「恰好悪くて言えないだろう」アハハと笑うけど、悲しそうだった。
「でも、幼馴染ちゃんと付き合っているよね」
「うん。無くして気が付くって言うか・・失って彼女の大切さが解って
バカだよな。思い起こせば土曜日も、日曜日も浮気相手と居てさ。
平日は浮気相手とのデート費用捻出する為にバイトして・・
彼女に殆ど連絡して居なかった。
彼女からのメッセージに返信して満足していた。
後から見直したら、メッセージ全部同じなの・・
(バイトで疲れた)(寝る おやすみ)(課題しないとならなくて、忙しい)
(サークルのコンパ)こればっかり・・」
「どうやって取り戻したの?」
「それから毎週、土曜日に講義が終わってから、高速バスに乗って帰って、
日曜日に戻ってくる、生活を1か月以上続けた。
勿論、会ってくれる訳ないよ・・それでも毎週、毎週帰っていた。」
「え、毎週?そう言えば一時、飲み会、誘っても来なかったよね。」
「うん。それどころじゃなかったよ。そうこうしているうちに夏休みでさ・・
帰省してからは、毎日、毎日彼女の家に行っていた。
おばさんが情けで家に入れてくれるんだけれど
彼女、部屋から出て来なくなってさ・・多分、迷惑だったと思う、
両親に説得されて、イヤイヤ彼女は会ってくれた。
土下座して謝って・・泣いて縋って・・」
「泣いて・・」
「情けないだろう?オレ。 だったら浮気するな!ってかんじだよな」
「もう、二度と悲しませないからと、何度も何度も口にしてさ・・
彼女も毎回泣いていた。
『省君を、2度と信じられない。何をしても疑ってしまう自分が嫌だ!
だから終わりにしたい』と言われて。俺、死んだ方が良いと思おう位苦しくて・・
信じてくれなくても、疑っても良いから、その度にスマホも見せるし、
安心するまで何度も説明する。それを面倒だとも思わないから
傍に居させて欲しいって・・本当に縋りついた」
「許してくれたんだ・・」だから今、2人で居る。
「許してくれたのか、同情か・・」
そう口にした省吾の顔は苦し気だった。
「あいつ、2度と俺の部屋足を踏み入れてない・・」
「え?」
「一度、部屋に誘ったんだ、そうしたら『あの部屋は私の部屋じゃないから』と
言ってね。 考えたら浮気していたベッドに寝れないよな。
他の女が入っていた風呂に入れないよ、
他の女が使った台所なんかで料理したくないよな。
又、彼女を傷つけたんだよ。でも、大学からも近くて安いし、
両親が探してきた物件だし、親がお金を払っているから、
引っ越しなんて出来ない。だから就職して金銭的に余裕が出たら、
引っ越しは考えている。
引っ越しと同時にベッドとか全部処理するつもりで、バイト代を貯めているよ。
その時は一緒に家具を選んで、彼女が少しでも喜んでくれたらと思っている。」
「そっか・・じゃあもう暫くの我慢だな。」
「俺は、何の考えも無くて彼女を裏切って、
謝ればやり直しも簡単だと思っていた、
実際、許して貰った時はスッキリした。バレて良かった位に思っていた。
でも、俺はそう思っても、彼女は俺の浮気で傷ついて、その傷を癒すために
彼女自身が変化した。」
「変化?」
「そ、それまでは彼女の1番は俺だったの。俺を中心に彼女は回っていた。
俺が彼女を中心に回らなくなったように、彼女も俺を中心に回らなくなった。
彼女の1番が俺じゃなくなった。幼馴染だから彼女の周りの友達を
知っていたけれど、こっちで彼女の世界が回り始めて、そこを俺は知らない。
彼女は会社の同期と呑みにも行くし、BBQとかのイベントにも参加している。
そこに男がいるのかも知らないし、壁があって聞けない。
俺はいつか 彼女に捨てられる不安で一杯だよ。」
「俺は捨てられた・・」
「何処に行った?」
「日本じゃない何処かだって・・
詳しくは教えてくれなかった。」
省吾も俺と美月の関係に気が付いていたんだ。
「そう言えば浮気相手とどうなった?」
「あ~俺が何か月も実家に帰る生活をしていたら
俺に興味を無くしたのか、自然と終わっていた。
直ぐに違う男といたよ。」
(え、陽菜ちゃん・・俺、何も見てなかった)
「あいつは、そういう奴だよ。他人の者が欲しくなる。
手に入れたら段々興味を失う・・一種の性癖だよ。
他人の者を手に入れて興奮する・・
ま、それにまんまと乗っかった俺が1番悪いんだけどな」
その顔は本当に苦しそうだった。
幼馴染との恋は苦しいのだろう・・・
でも、好きだから省吾は離れられないんだ・・
省吾がスマホでメッセージを送る。
「彼女?」
「うん。一応」
「彼女と長いよな?何年?」
「家が隣だから、生まれた時からの知り合いで、
高校1年から付き合っている。かれこれ7年くらい?」
「7年!なが!」
「永いな・・」
「省吾、7年も付き合っていて他に目が行く事無かった?」
「・・・」
長い沈黙の後に
「あったよ。3ヶ月位、他の女と浮気していた。」
「幼馴染ちゃんと別れて?」
「いや、バレないと思っていたんだよね。近くに居るわけじゃなかったし・・」
「バレたの?」
「彼女がこっちに突然、遊びに来たんだ。あちこち廻ってさ~
部屋に連れてきて、さ~ヤルぞ!って、こっちはなるから、
先にシャワー浴びてさ、彼女も浴びるように・・
そうしたら暫くして、彼女が洋服を着たまま出て来て、
俺はパンツ一丁なのに、 彼女はキッチリ洋服を着ているんだよ・・
なんだ?と思うじゃん。
彼女、ハッキリ口にしたんだよ『省君、お別れだね。』って」
「俺、パニックになってさ、『何で?』ってね。『お揃いの食器、
お風呂場にある2種類のシャンプーにコンディショナー。
洗顔フォームにクレンジングオイル。』
そう口にしていた彼女の眼には、涙が一杯溜まっていて、
零れそうなのを抑えているのが、付き合いが長いだけに解ってさ・・
『解っていたんだ。連絡も来なくなっていたし、メッセージも定型文のような
メッセージ。今日は終わりを確認しに来ただけだから・・』
そう言って彼女出て行った。
パンツ一丁の俺が服を着て、追いかけた時にはもう、何処にも居なかった。」
「知らなかった」
「恰好悪くて言えないだろう」アハハと笑うけど、悲しそうだった。
「でも、幼馴染ちゃんと付き合っているよね」
「うん。無くして気が付くって言うか・・失って彼女の大切さが解って
バカだよな。思い起こせば土曜日も、日曜日も浮気相手と居てさ。
平日は浮気相手とのデート費用捻出する為にバイトして・・
彼女に殆ど連絡して居なかった。
彼女からのメッセージに返信して満足していた。
後から見直したら、メッセージ全部同じなの・・
(バイトで疲れた)(寝る おやすみ)(課題しないとならなくて、忙しい)
(サークルのコンパ)こればっかり・・」
「どうやって取り戻したの?」
「それから毎週、土曜日に講義が終わってから、高速バスに乗って帰って、
日曜日に戻ってくる、生活を1か月以上続けた。
勿論、会ってくれる訳ないよ・・それでも毎週、毎週帰っていた。」
「え、毎週?そう言えば一時、飲み会、誘っても来なかったよね。」
「うん。それどころじゃなかったよ。そうこうしているうちに夏休みでさ・・
帰省してからは、毎日、毎日彼女の家に行っていた。
おばさんが情けで家に入れてくれるんだけれど
彼女、部屋から出て来なくなってさ・・多分、迷惑だったと思う、
両親に説得されて、イヤイヤ彼女は会ってくれた。
土下座して謝って・・泣いて縋って・・」
「泣いて・・」
「情けないだろう?オレ。 だったら浮気するな!ってかんじだよな」
「もう、二度と悲しませないからと、何度も何度も口にしてさ・・
彼女も毎回泣いていた。
『省君を、2度と信じられない。何をしても疑ってしまう自分が嫌だ!
だから終わりにしたい』と言われて。俺、死んだ方が良いと思おう位苦しくて・・
信じてくれなくても、疑っても良いから、その度にスマホも見せるし、
安心するまで何度も説明する。それを面倒だとも思わないから
傍に居させて欲しいって・・本当に縋りついた」
「許してくれたんだ・・」だから今、2人で居る。
「許してくれたのか、同情か・・」
そう口にした省吾の顔は苦し気だった。
「あいつ、2度と俺の部屋足を踏み入れてない・・」
「え?」
「一度、部屋に誘ったんだ、そうしたら『あの部屋は私の部屋じゃないから』と
言ってね。 考えたら浮気していたベッドに寝れないよな。
他の女が入っていた風呂に入れないよ、
他の女が使った台所なんかで料理したくないよな。
又、彼女を傷つけたんだよ。でも、大学からも近くて安いし、
両親が探してきた物件だし、親がお金を払っているから、
引っ越しなんて出来ない。だから就職して金銭的に余裕が出たら、
引っ越しは考えている。
引っ越しと同時にベッドとか全部処理するつもりで、バイト代を貯めているよ。
その時は一緒に家具を選んで、彼女が少しでも喜んでくれたらと思っている。」
「そっか・・じゃあもう暫くの我慢だな。」
「俺は、何の考えも無くて彼女を裏切って、
謝ればやり直しも簡単だと思っていた、
実際、許して貰った時はスッキリした。バレて良かった位に思っていた。
でも、俺はそう思っても、彼女は俺の浮気で傷ついて、その傷を癒すために
彼女自身が変化した。」
「変化?」
「そ、それまでは彼女の1番は俺だったの。俺を中心に彼女は回っていた。
俺が彼女を中心に回らなくなったように、彼女も俺を中心に回らなくなった。
彼女の1番が俺じゃなくなった。幼馴染だから彼女の周りの友達を
知っていたけれど、こっちで彼女の世界が回り始めて、そこを俺は知らない。
彼女は会社の同期と呑みにも行くし、BBQとかのイベントにも参加している。
そこに男がいるのかも知らないし、壁があって聞けない。
俺はいつか 彼女に捨てられる不安で一杯だよ。」
「俺は捨てられた・・」
「何処に行った?」
「日本じゃない何処かだって・・
詳しくは教えてくれなかった。」
省吾も俺と美月の関係に気が付いていたんだ。
「そう言えば浮気相手とどうなった?」
「あ~俺が何か月も実家に帰る生活をしていたら
俺に興味を無くしたのか、自然と終わっていた。
直ぐに違う男といたよ。」
(え、陽菜ちゃん・・俺、何も見てなかった)
「あいつは、そういう奴だよ。他人の者が欲しくなる。
手に入れたら段々興味を失う・・一種の性癖だよ。
他人の者を手に入れて興奮する・・
ま、それにまんまと乗っかった俺が1番悪いんだけどな」
その顔は本当に苦しそうだった。
幼馴染との恋は苦しいのだろう・・・
でも、好きだから省吾は離れられないんだ・・