私の好きな彼は私の親友が好きで
彼が私の涙に気が付いたのか、目元にキスをして
チュッチュと音を立てて それを吸う。
「美月、どうした?」
「なんでもないよ・・」
「今日の美月 おかしい・・」
「そんな事ないよ いつもと変わらない・・」
「さっき、どうして泣いた?」
「亮介が口でゴムの袋を破いたのを見て手慣れた!と思って・・
最初、私達初めて同志で、ゴムも満足に付けられなかったのを
思い出したの・・」
「確かに・・何回も失敗したよな」
「うん。」


私は亮介が好きだったけれど、好きだからこそ彼が目で追っているのが
親友の陽菜だと気が付く・・好きだからこそ解る、想い人の恋心。
自分の恋心に蓋をして、友達のポジションで居た。
4人で何時も呑んだり、食べたりしていた。
その日も4人で居酒屋で集まる予定だったのに急遽、省吾のお父さんが出張で
来ているからと連絡が入った。
そして、陽菜も大学で生理になってしまい、下着が汚れてしまったので
今日は不参加と連絡があった時には、亮介も私も居酒屋に居た。
未成年だった私は専ら食べる専門。亮介は少し呑んでいたかもしれない・・
居酒屋を後にして2人で さっきの公園に行きブランコに乗った。
子供に戻ったように2人で必死に高さを競った。
ブランコが止まった瞬間、どちらともなくキスをしていた・・

「私、ファーストキスだった」
「マジか・・」

そして又、唇が重なった。今度はもっと吸い付くようなキス・・
唇が離れた時に、私と彼の唇にキラリと糸の橋がかかっていた・・

「うち、ここから歩いて直ぐ・・来ない?」

頷く・・
彼は私の手を引いて速足で歩く・・まるで逃げられない様に・・
ふと コンビニで彼が止まる。
「少し、ここで待ってて 直ぐに戻るから」
彼は本当に直ぐに戻ってきた。その手には何も持っていなかった・・
不思議に思ったけれど・・又、彼に繋がれた手に神経が集中してそれ以上
考えるのを止めた。

彼の部屋は1LDK 男性の部屋に入ったのは勿論初めてだったけれど、
多分、綺麗に片付いている部屋だと思う。
無駄な物が何も無く、スッキリしていた。
身長が高いからセミダブルのベッドだと言っていたと思うけれど
緊張していて余り覚えていない。

今日みたいに部屋に入って直ぐに抱きしめられた・・
キツくキツく息が出来ない位に・・
軽く啄むようなキスを何回も何回も繰り返し、
「美月、口開けて・・」の言葉と共に彼の舌が私の口の中
 全てを蹂躙した。
そのキスは私が知っているテレビで見るキスとは違い、もっともっと
淫靡なキスだった。
そのキスをされていると、お腹の奥がズキとした・・
玄関の外で靴音がした・・
「亮介、ここじゃイヤ・・」
その時は今日と違い、手を引かれて寝室に誘われた。
< 4 / 105 >

この作品をシェア

pagetop