私の好きな彼は私の親友が好きで
クリスマスに泣いているなんて、誰が見ても理由は一目瞭然だ。
タクシーを降りる時に、親切心で運転手さんが
「明けない夜はありません。お日様は必ず出ます。」と
皮肉だ。私は月で陽菜はお日様。永遠に私は報われない。
そう言われたような気がした。
どうして私は、このホテルに来たのだろう。
昨日もそうだったように、今もイルミネーションを目的に
訪れているのは、カップルばかりだ。解っていてどうしてここに
世界一惨めな自分を、更に追い詰める様に、居るのだろう。
頭に浮かぶのは、コンビニのカゴに入っていた避妊具。
亮介は私にしたように、陽菜にキスをする。
私を抱いていたように、全身に唇を這わし、陽菜に興奮した彼自身を沈め、
彼女の膣内で果てるのだろう。
そして、私にしていたようにキスを落とし、あのベッドで寄り添って
朝を迎えている。
私は何を期待して、亮介を訪ねようとしたのだろう、
薫さんと生きていくのに、自分の想いと決別しようとしたのは嘘ではない。
でも、心の何処かに亮介が、私を待っていてくれていると期待していたのも
否めない。
もし、亮介が待っていてくれたら・・そうしたら・・薫さんとは昨日会った
ばかりだ、だから破談にしても、大丈夫だと心の何処かで甘え、軽視していた。
だから罰が当たったんだ。
薫さんが、私を大事にしてくれたから勘違いしたんだ。
誰からも愛されると。