私の好きな彼は私の親友が好きで
大晦日も、昨日と大差無く過ごす・・薫さんは私の身体に腕を回したり、
気が付くとキスを落とされていた。
それは唇だけに限らず、首筋、目元、オデコ、鼻先とありとあらゆる場所に。
薫さんはキスを使い分けていた。
朝起きた時にするキスは本当に軽く。
朝、キッチンに立っている時は啄むように、
ソファーに座っている時には首筋に「チクリ」と痛みが伴うキスを・・
昨夜の事で、自信が無くなっているからだろうか
こんなにキスが上手なのは、何人もの女性とキスをしてきたのだろう?
何人のセクシーな女性と、彼はベッドを共にしたのだろう・・
その女性たちは、直ぐに薫さんとベッドを共に出来たのだろうか?
私に魅力が無いから、昨夜は何もなかったのだろうか?
そんな風に悶々と悩む自分と、その、甘い行動に幸せを感じている自分と
行ったり来たりしてる。
そして、そんな自分とのせめぎ合いに心底疲れ、考えるのを諦めた。
夕食の後にお風呂に入り、何時もの様に薫さんの足の間にスッポリ収まり、
髪の毛を乾かして貰い、首筋にゾクゾクするような指先を感じながら、
これは、錯覚、錯覚と自分を戒めていた。
「ハイ!ちゃんと綺麗に乾いた。」
「何時も、有難うございます。なんか甘えっぱなしで・・」
「良いんだよ、美月ちゃんは、俺にだけ甘えて。」
目の前のTV からは大晦日、恒例の歌番組が惰性で流れている。
それだけが今日が大晦日だと知らしめる。
ここ何日のジェットコースターのような展開に、良く自分は
振り落とされないで乗車出来ているな~と感じる。
ボーとそんな事を考えて居ると
「此処に座って」と薫さんが自分の膝をトントンと2回叩く。
「え・・・重いです・・」
「大丈夫。美月ちゃんの体重なんて重いうちに入らないから。さぁ!」と
再度、膝を叩く。
どうせ、今日も生殺し・・そう思い 半分、自棄になり、そこに腰を置いた。
「美月ちゃん、俺の首に手を回して」
言われた通りに回すと、想像以上に身体に密着し、顔が近かった。
あ~なんて綺麗な顔なんだろう。肌もきめ細かくて・・そう、思った時には
手は薫さんの頬に触れていた。
「っつぅ・」薫さんの喉が何とも言えない声か呻きを放った。
「悪戯っ子だな!」そう、聞き取れた時には薫さんの唇が私の首筋を
チクり、チクリと痛みを伴うように吸っている。
「真っ白な肌だ」と言いながら鎖骨を甘噛みする。
「ふぁ~」痛いけれど、気持ちが良い・・鎖骨から離れた唇が寂しくて
「もっと・・」と薫さんに回した腕に力を込める。
「煽っているの解ってる?」
首を振りながら
「やめないで・・」
「美月ちゃん、もう、限界。」その瞬間、私の身体は宙に浮いた。