私の好きな彼は私の親友が好きで
プロポーズ
元旦の朝、私達は大幅に寝坊した・・それは朝まで薫さんが私を
離してくれなかったから・・
薫さんのご実家に向かう車中で
「もう、薫さんのせいで もっと、ちゃんとお化粧も、髪型も
頑張ろうと思ったのに!」
「充分、可愛いから大丈夫だよ。」
「そういう問題じゃありません!」
そんな遣り取りさえ、幸せに感じる単純な私。

年始の挨拶用に用意していた、おニューのワンピースは
薫さんが、ありとあらゆる所に独占欲の印をつけた為、
着れなくなり、その独占欲の印を隠せる洋服を探すのにも苦労した。
「あの、ワンピースでも良かったのに。美月に似合っていた。」
「あんなに 跡が見えていたら流石にファンデーションでも隠せません。」
「両親は安心すると思うんだけどな~仲良くしているんだ!って」
「恥ずかしくて無理です」
「ッフ 可愛い」
多分、薫さんは私が緊張しているのが解るからわざと、こんな話をフッてくれて
いるような感じがした。

薫さんのお母様の百合さんとは面識もあったから、緊張はしていなかったが、
お父様とは、初めましてだったので凄く緊張した。
大企業のトップだから、父より気難しい人を想像していたが、
薫さんが年齢を重ねたら、お父様のようになるのだと、思う位似ていたので
親近感が湧いたし、お母様が殊更、気を遣って会話を広げてくれたお陰で
家族の初顔合わせは、楽しかった。
お父様には「薫は一生結婚しないと思っていたから、結婚してくれて
有難う」と口にされた時は
「今まで、誰とも結婚しないでくれて良かったです。」と口にしてしまい、
ご両親がその言葉に喜んでくれ、私は真っ赤になってしまった。
つい、口に出てしまった言葉だったけれど、それは私の本心だった。

私は、どうしようもないくらいに彼に惹かれている。

私達はお互いの実家への挨拶もソコソコにマンションへ帰宅した。
父は何か言いたそうだったが、母が
「仲が良いのは良い事ですよ。実家に入り浸るような、結婚生活なら
大問題よ。」と言って帰してくれた。
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