婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「俺はまだ口きいてもらえない」
溜息まじりに目を擦っている。なんだか、見ていて切なくなった。
「痩せて復帰したいとか本人は考え──」
「それで殿下の話だけど」
「あ、はい」
船長には逆らえない。
「君の気持ち次第だと思うよ。あの人は側室という制度が嫌いだし、女遊びもしない。愉快な人ではあるものの、対人については真面目な人だ。君が、受け止めるかどうか。それだけ」
「……」
「俺に答えなくていいから」
考え込んでしまった私に、ファイサル船長は優しくそう言ってくれた。