婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「あれでも一国の王子だから、そういう事もついて回る。君が重荷と感じるなら無理をする必要はない。殿下は無理強いするような人ではないよ。それに、君が拒んだからといって、遠い異国に置き去りにするような事もありえない」

「それは……そうだと思います」


計算を間違えても、人と喧嘩をしても、踊れなくても。
それで追い出す事はないと言ってくれた、あの日の王子の声が蘇る。

私を、特別だと言ってくれた。


「信頼はしているんだな」

「はい」

「君から断りにくいなら俺から言う。船長であり座長であるこの俺に、口を出せない人事はない」


冗談めかして言うけれど、たぶん本気だ。
 

「それに秘密も認めない」

「はい」


強い。


「その顔は、まんざらでもないな」

「……はい」
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