婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
いくら硬派なファイサル船長でもあのライラの姿を見たら、目尻を下げるはず。
そんな期待も込めて再び正面を向くと、既に立ち上がったファイサル船長の膝しか見えなかった。
「彼女も君の事を気に入ってる。いい友達になれそうだと言ってね」
「それは……」
嬉しいです、とか、よかったです、とか。
そんな感じの事を言うつもりだったと思う。
でも私はポカンと口を開けた。
するりとファイサル船長の体に抱きついたライラを、ファイサル船長もするりと抱きしめ、ぐいっと仰向いたライラの唇に、ぐっと屈みこんだファイサル船長の唇が重なったのだ。
「……」
私、ここに居るんですけど!?
「ヒューヒュー♪」
「えっ?」
今まで気づかなかったけど、向こうの席にバディーアとルゥルゥがいた。