婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?

ふむ、とバスィーム王子が胸の前で腕を組んだ。


「そうか。ダリヤは理由がわからないと納得しないんだな」

「……」


面倒な奴め、と言われたような気がした。
 
けれど、王子は私の手をそっと握ると、優しく引き寄せて、肩を抱いた。
あたたかい胸に背中を包まれて、星を映す水面を見つめる。

王子の手がすっと顔の横から出てきて、揺れる星々を指さす。そして私の目をそのまま満点の星空へと導いていった。


「美しいだろ」

「……はい」

「星の光は、旅人を導き、願いを受け、哀しみを癒し、愛を語る。名を持つ星、名もない星、いくつかの連なりで意味を持つ星、すべての星が空に抱かれ、輝いている」

「はい」


たしかな力で、でも優しく、抱きしめられた。
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