婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
最初に不安いっぱいの心で乗り込んで来た時と、まったく違う気持ちが私の胸を膨らませていた。豊かな水源をもつ水の大国カルディナディアの、青く濡れた森を少しだけ高い位置から見下ろして、ほんの短い時間の、とても濃厚な思い出が脳裏を駆ける。
「またいつでも連れて来てやる。お前が望むなら」
「……もっと。たくさんの国へ行きたいです」
「そうか」
王子が傍にいてくれる。
手すりにかけた手に王子の手が重なった。
「……!」
飛空艇が浮いた。
たったの2度ではとても慣れない不思議な感覚。
でも、平気でいられるくらい、慣れてしまうくらいに、何度も、この感動を重ねていく未来が想像できた。
もう恐くない。高い場所も、強い風も、私が私自身でいる事も。
「ガッ」