婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
というのは冗談で、夕食後に町へ下りる全員を対象にした会話講座の時間を設けた。みんな座って真面目な顔で私を見るので、緊張……はしたけど、なんか変な感じだ。
その様子からインスピレーションを受けたレイスがいい振り付けを閃いたらしく、踊りながらサピエタ語を覚えるという、謎の舞が生まれた。
「あぁ~ん、バンビちゃんッ! アタシたちサイコーねッ!!」
「いや、どうかわからないですけど」
「はははッ☆彡」
3日後、余興は『鉄の息吹き』と題が決まった。
科学者の指を群舞で表現しながら、命を吹き込まれる機械人形を私が勤める。光る衣装を着るのに、更に全身を銀色に塗るなんて驚きだ。
最初はぎこちなく動くだけの人形が、だんだんと人間に近づいていく。その過程が腹話術みたいだと誰かが言って、私の背後に立ちアレコレ言う遊びが、気づいたら飛空艇内で流行り出していた。
「ハァ~イ! アタシ、ダリヤ! ジョウネツテキナ、オドリコナノヨ!」
「……」