婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
ボッと頬が熱くなって、硬直してしまう。よかった、本を渡した後で。私が持ったままだったら、落っことして足の甲の骨を折っている。


「行くか☆」

「……はぃ」


私たちは音楽室へ向かった。演目の打ち合わせをブルハーンと共同でするのは珍しくないらしい。私たちが着くと、ファイサル船長とブルハーンは楽器を触りながら構想を練っていた。


「ああ、ダリヤ。意見を聞かせてくれ」

「その前にお前たちは大人しく童話を聞け。じゃあな☆彡」


物静かで小奇麗ではあるものの、レイスに並ぶガチムチのブルハーンに分厚い本を託し、バスィーム王子は歯を煌めかせて笑いながら去っていった。


「彼らは真面目と聞くから、悪ふざけとは思われないようにしないと」

「斧が飛んでくるかもしれん」

「……!」


ブルハーンが、喋った!
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